特集です。取材した大澤記者お願いします。
最近、全国で強盗事件が相次いでいますが警察の調べによりますとギャンブルによる借金が動機となり犯罪に手を染めるケースがあるということなんです。2月に江戸川区の住宅で起きた強盗殺人事件では逮捕された中学校教諭の尾本幸祐容疑者が競馬などのギャンブルで数百万円の借金を抱えていたことが分かっています。警視庁は金品を盗む目的で住宅に侵入し鉢合わせた被害者を襲ったとみています。また、稲城市の強盗致傷事件で逮捕された男も借金返済やギャンブルのためSNSを通じて闇バイトに加わっていたと供述しています。ときに犯罪の原因ともなるギャンブル…そのギャンブルに日常生活や社会生活に支障が生じるほどのめり込む精神疾患が「ギャンブル依存症」です。厚生労働省によりますと国内でギャンブル依存症が疑われる人の数は推計で約70万人…と決して少なくありません今回私はギャンブルで多額の借金を背負った依存症患者の声を聞きなぜギャンブルが犯罪に繋がってしまうのか…そして起こらないために何が必要なのか…話を聞きました。
遠藤さん(仮名):「2年で…借金7000万円くらいまで…/負けたら取り戻したいという強迫観念というか…/お金がゼロになるまでやり続けてしまうという状況」
30代後半の会社員…遠藤さんは多額の借金を抱えながら今もギャンブル依存症と戦っています。ギャンブルと出合ったのは高校生のときでした…
遠藤さん(仮名):「先輩が『アルバイト以外に稼げる方法あるよ』っていうのでパチンコ・スロットに一緒に連れて行ってもらったのがきっかけ」「よくあるビギナーズラックで1回で1カ月分の給料を手にしたっていうのが こんなに儲かるのかっていうのを感じた」
その時、手にしたお金は5万円…ただ、その5万円が遠藤さんをギャンブル漬けの人生に引きずり込みました。社会人になってもギャンブル中心の生活…次第に借金を抱えるようになり遠藤さんは無理なお金の集め方をするようになっていきます。
遠藤さん:「もう犯罪すれすれみたいなお金の集め方をしました。友人にお金を借りたりもしたし、自分の属性で金融機関からそこまでお金を借りられないので色々な方法を使って集めてました」
こうしたギャンブルへの依存がきっかけとなり犯罪にまで発展してしまうケースは徐々に増える傾向にあります。警察庁の統計によりますとパチンコやギャンブルが動機となって犯罪を犯した人の数は統計を開始した2015年から増加傾向にありおととしには3千人を超えました。ここ数年でギャンブルと犯罪の結びつきが強まっていることが分かります。遠藤さんが最終的に抱えた借金の総額は7000万円以上…。そして2年前…自分ひとりではどうにもならないと感じていた彼を救ったのは当時、結婚したばかりの奥さんでした。
「自分がもしかしたらギャンブル依存症なのかもしれないということを妻が知らないところで動いて勉強していてくれて/一緒に回復しようって言ってくれました」
当初、遠藤さんは自身がギャンブル依存症だと認めることが出来ませんでした…。ただ、同じギャンブル依存症で悩む人たちが集まる自助グループに参加するうちにその考えは徐々に変わっていきました。
「自分が病気だと認めるきっかけが自分と同じ方々の話を聞いたことがきっかけでしたね。/経験した人から言われると共感があってそこで素直に受け入れられたかなというのはある」
遠藤さんは自身の経験から依存症で苦しむ人たちに向けてまずは誰かに相談して欲しいと話しています。
大澤記者は取材を進める中でこの依存症問題への対策に何が必要だと感じましたか?
遠藤さんへの取材を通して依存症患者が気楽に相談できる環境整備というものが大事だと感じました。さらにもう一つもっと根本にある依存症患者を生み出さない為の規制の議論というものが抜け落ちていると感じています。
ギャンブル依存症の患者や家族を支援する団体の田中紀子代表は「規制がものすごく重要。依存症の家族とギャンブルに関する業界団体で話し合いができるような環境をつくり必要な規制を整備する必要がある」と話していて
今後、これについては政府としても議論する必要があるのではないかと思います。